この度、7年間務めたTeach For Japan の代表理事を、6月末をもって退任することになりました。今後は、Teach For Japan の理事・ファウンダーとして Teach For Japan の成長発展をサポートしていきます。昨年、CEOを白田と交代してからの一年間、代表権の交代の準備を進めてまいりました。伴走していく中で、白田の「現場主義」の考えと行動が今後の成長と発展のカギになると確信するようになりました。これからは、代表のパワーがメインで前に進むのではなく、フェローやアルムナイ、子どもたちの変化のストーリーが様々な支援者を巻き込む求心力となるべきだと考えています。フェロー卒業生でもある白田体制だからこそ、これを実現できると確信しています。また白田体制には「みんなの学校」で著名な木村泰子先生にも理事として加わって頂けることになりました。
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2010年7月に創業してからの7年間、多くの方に支えて頂きながら、一歩ずつ前に進んでまいりました。今でも2008年に当時 Teach For America のCEOだったWendy Koppとの出会いは忘れません。教育格差の是正に向けて、国内で最も優秀で情熱のある人材を二年間厳しい環境に置かれている子どもたちがいる教室に派遣をし、教室環境を改善し、子どもたちの学力向上や進学率の向上に大きく貢献していたのです。二年間このプログラムを経験した人たちが卒業後も、社会のリーダーとして教育格差の是正に向き合い続けていることにも感銘を受けました。今では、多くのビジネスリーダー、議員、教育長、校長先生、起業家が Teach For America の卒業生として活躍しています。遠くない未来、大統領もこのプログラムから輩出されるでしょう。28年間で累計60,000人近い卒業生です。60,000人が「教育格差を是正する」という同じミッションを持ってコレクティブインパクトを実現しているのはとてつもないパワーです。
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同等のインパクトを日本でも実現したいと思い、7年前に立ち上がりました。今では「子どもの貧困」は認識されていますが、7年前はこの課題の認識は全くない状況でした。プログラム発足当初は教員を現場に派遣することができず、Learning for All という学習支援のプログラムからスタートし、実績を積み重ねるところからはじめました。LFAでは、情熱のある「大学生」に対して指導力やリーダーシップトレーニングを提供し、経済的にも学力的にも厳しい子どもたちの支援を全国で展開していったのです。多くの学生教師の頑張りがあり、現場にお越し下さった教育委員会の担当者もTeach For Japan のことを信頼して頂けるようになりました。その後、信頼関係を積み重ね、神奈川県内の自治体で教師派遣のパイロットプログラムである一年間の派遣プログラムをスタートさせることとなり、2012年度からは正式に二年間の教員派遣を実現することができました。以降、奈良市・泉佐野市・川崎市・戸田市・福岡市・北九州市・田川市・川崎町・飯塚市・福智町に先生を派遣してきました。
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2015年度からは、創業当時から大きな課題でもありました、教員免許を保有していない人材に特別な免許を発行していただき、多様な経験を持っている人材を教育現場に送り始めることができました。今では7割近くのフェローが担当している学校種・教科の免許を保有していません。教員の質というのは免許を持っているか否かで決まるのではないということを確認することができました。先日、文部科学省の事例集にも掲載していただき、新しい教員採用と養成の形を提示できたように思います。これまで70名近くのフェローを現場にご紹介し、実績を積み重ねることで、協賛パートナーや教育委員会との信頼関係を構築することができました。嬉しい事に、今では多くの教育委員会から「人材を紹介してほしい」という要望を頂けるようになっています。
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ただ、これまでの道のりは決して平坦なものではなく、創業当時は苦難の連続でした。何度も何度も自分のリーダーとしての力不足を痛感し、それでもなんとか踏ん張って走り続けてきました。14歳の時のいじめ体験が原因か、人を心から信頼することができずにいました。自分を守ること必死になり、殻に閉じこもることも多々ありました。外向けには毅然としたリーダーを演出するものの、内部のマネジメントはぼろぼろ。他人を傷つけるとともに、自分自身も傷つき、昨年は自律神経失調症を患い、体重も15キロ減りました。

本当に何もかもうまくいかない時期でした。そんな時、多くの仲間に支えられました。本当に辛い時に手が差し伸べられた時の嬉しさや心強さはこれからも忘れることはないと思います。この頃から、自分一人で前に進むのではなく、大切な人たちと信頼関係を築きながら、伴に前に進むことの大切さに気づくことができました。当たり前なんでしょうけど、私にとっては大きな変化となりました。

最後となりまずが、
私がここまで走ってこられたのは、多くの方々の支えがあってからこそです。本当にありがとうございました。特にフェローや職員(元職員)の皆さんには特別なお礼を申し上げたいです。何もないところにビジョンへの共感だけで飛び込んできてくれて本当にありがとうございました。子どもたちのために全力を尽くしてくださり、本当にありがとうございました。今後は理事という立場ではございますが、変わらない思いでTeach For Japan の成長発展に貢献し、皆さんと一緒にプログラムの発展に貢献していければと思っております。

■松田の今後について
7月からスタンフォード経営大学院のフルタイムExecutive MBAプログラム(MSx)に進学することが決まりました。来週に渡米し、アメリカでの修行期間は二年間を予定しています。これまでの7年間をしっかりと振り返り、そして新しいチャレンジに踏み出すためのインスピレーションを得るべく、全力で吸収してきます。研究テーマは「コレクティブインパクト」「社会事業評価」「資金調達」「ソーシャルビジネスマネジメント/リーダーシップ」周辺を予定しています。スタンフォードにはCenter for Social Innovationがあり、社会起業の研究がとても進んでいますので、楽しみです。このような機会を提供してくださった日本財団の国際フェローシッププログラムには心から感謝しています。国際フェローの名に恥じねよう、全力を尽くします。

■ご案内
・東京マラソンのチャリティラン、今年も寄付先団体に選定して頂いています。餞別は是非ともこちらから宜しくお願い致します!!10万円の寄付で確実に東京マラソンに出走できます!
・渡米前の最後の登壇イベントはこちらになります。是非ともご参加ください(^^) 

長文となりましたが、最後までお読み頂き本当にありがとうございました。これからもどうぞ宜しくお願い致します。