これまで教育格差問題についての取材は多かったわけですが、徐々にグローバル人財育成・海外進学支援の松田としての認識が広がりつつあり、(今年はコロナの状況もあり)海外進学支援のエキスパートとして取材を受ける機会がたくさんありました。

その中で、よく聞かれた質問が「コロナによって留学者数へりますよね?」。また、受験生の中には「コロナがあって、海外進学を考える受験生が少なくなって、今年がチャンスだと思うんですよね」と考えている人も多かったです。

僕は、こういう事を聞かれると、必ずこう答えていました。

「今回のコロナパンデミックによって、世界が『世の中の不確実性』について肌感覚で理解する機会になったと思う。結果的に海外進学を希望する受験生は増えると思うよ」と。

信じなかった人は多かったと思いますが、先ほどハーバード大学のTwitterから今年の出願者の状況についてツイートがありました。
harvard twitter

はい。という事で、コロナの状況によって、海外大学の出願者が減る事を期待していたアナタ。全く逆です。

ハーバード大学の例年の出願者数
そもそもハーバード大学には何人の学生が出願するの?データをみてましょう。

2019-20年の出願者のデータは下記の通りです。
男性:21,730人
女性:21,600人
合計:43,330人

で合格するのが、
男性:1,009人
女性:1,000人
合計:2,009人

合格率でみると、
男性:4.6%
女性:4.6%
合計:4.6%

という事でとても競争率が激しい事がわかります。

今年の出願者は31.5%増し
一見、コロナによって、海外進学を諦める人が多くなるだろうと、予測していた人が多いと思います。しかし、実態は全くその逆。例年43,000人出願するハーバード大学は今年57,000人が出願しました。なんと異例の31.5%増しになったのです。

その分入学者の定員は変更ありません。となると、2,000の合格定員に対して57,000人が出願していることになるわけですから、合格率は3.5%になります

ただでさえ、競争倍率が高いハーバード大学の競争が激化しているわけです。

これはハーバードのようなトップスクールのみならず、アメリカの大学に全体的に広がっている傾向です。なぜ出願者数が増えているのでしょうか?

出願要件が緩和されている
コロナパンデミックによって、これまで大学出願において受験必須だった「SAT(大学入学適性試験)」をOptionalとした事を筆頭に、多くの大学が出願要件を緩和しています。これは、実はコロナパンデミックの前からあった傾向の一つです。アメリカでは、合否に大きな影響を与える試験のスコアが所得階層によって大きく差が生まれる事から、この不平等を是正する動きがありました。テストのスコアのみならず、包括的に評価をしていこうという動きですね。

そんな流れがあった中、今回コロナパンデミックによって受験生がSATの試験会場に足を運ぶ事ができず、さらにSATの運営主体であるCollege Boardがオンラインの試験運用を断念。結果的にSATを受験できない学生が多く、受験の可否によって審査が影響されないように各大学がSATのテストをオプショナルにしたのです。

ただ、先日のブログでも説明したように、「オプショナル」というのは受けなくて良いという事ではなく、「受けた方が良いけど、受けれなかった人はマイナスにはしませんよ」という意味でしたので、実質トップスクールの合格者のほとんどはSATを受験した人たちだった事もわかりました。

ただ、Optional になったことで、これまでテスト受験が得意でない人が、「自分にもチャンスがあるかも!」と思って出願した事は間違いありません。結果的にトップ大学への出願者数増加に大きく貢献した事になるでしょう。

ちなみに、日本でもよく「『ミネルバ大学』がハーバードより合格率が低く難関である」という話がマーケティング的に使用されますが、合格率が低いという事が教育の質を図るわけではありません。実際にミネルバ大学の合格率が低いのは、出願ハードルが低い事も要因である事がは考えられます。


不確実な情勢だからこそ、より質の高い教育を求める
上記で申し上げたように、出願要件の緩和は間違いなく出願者増に貢献している事は間違いありませんが、そこにとどめるのもおかしな話です。「出願要件が緩和されたから合格できるかも」とワンチャンを狙う人たちばかりではありません。

今年になって海外進学相談は倍増しました。その中で、受験生や保護者の方と向き合っていてわかる事があります。それは、より質の高い教育を求めて、多くの受験生が海外に視野を向けるようになっているという事です。

世の中は不確実性が増すばかりです。テクノロジーによる創造的破壊のみならず、今回のコロナによって「不確実性」の意味を実感した人も多いでしょう。そんな中、「どういう教育を受ける事ができれば、この不確実な世の中で生き抜いていけるんだろうか」と考えている高校生や親御さんがとてもい多い事に驚きました。

また、コロナパンデミックの状況に自国の教育システムが適応しきれいない事を目の当たりにし、より質の高い教育を求めていく傾向が強まったとも聞きます。さらに、オンライン教育が普及すればするほど、大学で知識習得する意味がない事も明らかになり、より質の高い研究ができる環境やネットワーク等の要素がさらに重宝されるようになってきているわけです。

こういった質の高い研究環境やネットワークを手にできるのがまさにアメリカの大学なわけですが、このように質の高い教育を求めていった結果、海外大学の出願者が増えたことも考えられます。

海外大学を志望する受験生はどうすればいいの?
「SATもオプショナルになったし、ラッキー」と思っているのは間違っています。詳しくは【悲報】SATの科目試験がなくなりました をお読み頂ければと思いますが、テストが得意だった日本人にとっては不利な状況になります。

入学審査官は、今後も出願者が増える傾向も増す中、ストという判断材料がなくなった状況では合格者を選別するのがさらに難しくなります。そこで、Advanced Placement の履修状況や課外活動の「質」やエッセイや出願情報がとても大切になってくるわけです。上記のハーバードのツイートにもありますが、「Whole Person Admission Processを取っているので、もっと審査に時間を頂きます」と言っています。アメリカの大学は一つの要素だけ強化するのではだめで、多角的に評価されますので、戦略的に準備する事がとても大切になってきます。

◆課外活動を頑張ろう
他の出願者と差別化する方法はいくつかあるのですが、代表的なのが課外活動ですね。日本人は課外活動は量も質も足りていない受験生がほとんどです。特に質が乏しいです。「自分がイケいる」と思っていても、それはあくまでも小さな世界観の中での事であり、世界の受験生の中では全く勝てず、最終的にトップスクールに合格する人も少ないのです。課外活動がインパクトある活動になるように、しっかりと時間と労力をかけていきたいですね。

「コロナで課外活動ができません」という声も聞こえてきそうですが、そんな事は全くありません。できる事は無限にあります。Crimson 生も様々な課外活動やマイプロジェクトに取り組んでいます。サポートが必要な方はいつでもご相談ください。こういったコロナで外出できない・イベントできない・大会が開催されないという制約条件があるからこそCreativityが発揮できますし、課題解決能力を育むチャンスでもあります。コロナパンデミックは全世界が直面している課題です。その中で行動を起こしていく人を当然の事ながら入学審査官は評価します。

◆Advance Plancement などを履修しよう
【悲報】SATの科目試験がなくなりました でも紹介していますが、APというカリキュラムがあります。Crimson Global AcademyではこのAPをパートタイムで履修することができます。是非ともご相談ください。圧倒的な差別化要因になります。


という事で、今回のハーバードの発表がありましたように、アメリカの大学進学希望者は今後も増えていく傾向にあると思って頂いて大丈夫です。だからといって、諦めるのではなく、自分が成長するチャンスだと思って、頑張りたいですね。戦略的に取り組めば、必ず道は拓けます。早い段階から戦略的に準備を進めていきましょう!!


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